たなばたつめ
   
    

「天の川が見える。」

数年ぶりに晴れた星祭り。
散りばめられた星空。
星屑を飾る笹の葉。
揺れる五色。

「星のささやきが聞こえて来そう。」

寄り添う女夫星と犬引星。
漕ぎ出す星の船。
微笑むかささぎの群れ。

「聞かせてやろうか。」

戯れる七夕の子供。
さきたなばた。
あとたなばた。

「シベリアに来い。」

ヤクート。
大気は結晶に。
結晶は霧氷に。
そして吐息さえも。

「シベリアでは本当に聞こえる。」

吐息が凍る瞬間に聞こえる微かな音。
"ほしのささやき" 。

「いつか一緒に…」

めんたなばた。
おんたなばた。
星供の契り。
北欧で星合い。

            ひさかたの天の河瀬に船浮けて今夜か君が我許来まさむ。

たなばたつめ。
たなばた。





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