そのことがあってから、氷河は、長い時間瞬を凝視することはなくなった。
自身の視線が瞬に向いているのに気付くと、無理にその視線を他所に逸らすように、気を遣ってくれているようだった。

打ち続く闘いの日々の中、それでも氷河は、見ていないようで瞬を見ていたが。

そして、瞬も――氷河の視線を怖れながら、その視線に気付くたびになぜか、安堵の気持ちを抱くようになっていったのである。

――まだ、氷河は僕を好きでいてくれる――と。





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