魔法は、夜になっても解けなかった。
「アリョーシャ、お風呂、入ろう」
勝手につけられた名前に咄嗟に反応できずにいる氷河の髪に、瞬が手をのばしてくる。
鬱陶しそうな顔を作りはしたが、氷河は、本当は、瞬のその手の感触が少しも嫌ではなかった。
「日本のお風呂の入り方、知ってる? 教えてあげるよ」
だというのに、またしても、あの無礼な男が、横からいらない口をはさんでくるのである。
「駄目だ。こいつは俺と入る」
金髪の男に襟首を摘みあげられて、氷河は非常な不満を覚えた。
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