けれど。 そんなことで、長年続いてきたコーンウォールとアイルランドの戦に終止符が打たれるのかという瞬の懸念は、無用のものでした。 瞬と氷河を乗せた船がコーンウォールの港に着き、瞬は、コーンウォールの王と騎士たちに大歓迎を受けました。 その歓迎の場で、氷河から、恋の戦の辛さと華やかさを聞かされたコーンウォールの騎士たちは、氷河が推測した通りに、突如、身を焼くように激しい恋を求める男たちに変貌してしまったのです。 その単純なこと、その熱心さ、恋の戦を求めるコーンウォールの騎士たちの情熱に、瞬は呆れかえるばかりでした。 ともあれ、そういうわけで、コーンウォールとアイルランドの間には、武器を手にする戦はなくなりました。 呆れたことに、すべてが、氷河の目論見通りになってしまったのです。 彼の計算違いはただ一つ。 恋の戦の華麗さに執心するようになったカミュ国王が、自分の花嫁になるはずだったアイルランドの騎士を、自身の恋の相手に選んだということだけでした。 カミュ国王の執拗な妨害にあって、氷河はいまだに瞬と夜を共に過ごすことができていません。 Fin.
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