翌朝、シュンが目覚めた時、部屋に一つしかない窓の落とし戸は上げられていた。
きつい乳香の香りを流し去るように新鮮な朝の空気と、朝の光とが、室内に満ちている。

シュンは、不思議に安らかな気持ちで、朝を迎えた。
ひとりで寝台にいる自分を見い出し、それから、そんな自分自身に、しばし呆けた。

昨夜、“神”が来たような気がしたのは、気のせいだったのだろうか。
あるいは、昨夜自分をずっと抱きしめていてくれていた“神”と、その前夜自分を苛み続けた“神”は違うものだったのではないだろうかと、軽い混乱を覚える。

突然優しくなってしまった“神”が、いつまた豹変するかもしれないと恐れて、昨夜、シュンはかなり遅くまで眠れずにいた。
眠りに落ちた時にも、“神”の腕が自分を抱きしめていたことは憶えている。
そして、その時には、シュン自身が、彼の胸に頬を押し当てていたことも、そうすることに恐れを感じなくなっていたことも。

それはひどく優しくて、心も身体も安らげるような力と温もりとでできていたような気がした。






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