結局、俺にできるのは、待つことだけだった。
瞬の“家”で一晩、俺はまんじりともせずに瞬の帰りを待った。
煌々と輝く月が、俺を嘲笑っているように見えた。

――瞬は、朝になっても、彼の“家”に帰ってこなかった。

たとえそこが自分の家でも、中に野獣がいることがわかっている家に入ってくる人間はいないだろう。
俺がそこにいると瞬が戻りにくいのかと考えて、翌日の昼近く、俺は自分のクルーザーに戻った。

そこで俺はまた、後悔と自己嫌悪に苛まれて無為な時間を過ごし――落ち込むこと以外に何もできない自分に嫌気を覚えて、クルーザーを移動させた。
何をしていても、していなくても、俺の中の後悔が消えないのなら、何かをしていた方がいい。

俺という人間の形跡が島の近くにない方が、瞬の気持ちを落ち着かせるのには有効なのかもしれないとも思い、俺はクルーザーをイザベラ島のタガスコープに向けた。
そこで、食料や日用品、未練がましく瞬のための衣服を買い求め――俺が瞬のいる島に戻ったのは3日後の朝だった。

島に上陸する前に、上陸していいのかどうかを見極めるため、双眼鏡で島の様子を確認しようとした俺は、そして、砂浜に倒れている瞬の姿を見付けた。






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