ある夜、氷河は、思い切って、自分の傍らに仰臥する瞬の頬に触れてみた。 予想していた通りに、それは冷たかった。 もしかしたら、“氷河のものでない瞬”よりも美しいかもしれない“氷河だけの瞬”は、しかし、頬だけでなく肩も腕も胸も脚も、それだけで完全な真球を形作っている真珠のように、氷河を拒む。 犯しても同じだろうかと思い、その通りにしてみたが、それは冷たく黙したままで 歓喜のかけらも表してはくれなかった。 氷河が精を放っても、瞬は微動だにしなかった。 これまでは、瞬の姿を見るだけで猛ってきたのに、氷河自身の身体が、横たわる瞬のそれよりも凍りつく。 そうした時の瞬の姿を知らない氷河には、その時の瞬を形作れなかった。 |