氷河は瞬が嫌いだった。
この城戸邸に集められた子供たちの中で、いちばん嫌いだった。
泣いている顔も笑っている顔も──何と気軽に感情を表に出し、その表情を変えるのかと、苛立たしくて仕様がない。

どれほど理不尽で辛いことに見舞われても、その苦難を無言で耐えるのが男ではないかと、氷河は、子供のくせに──子供だからこそ──頑固に信じていた。
瞬は救い難いほど女々しい奴だと、氷河は思っていたのである。

実際、瞬は花のように可愛らしい“子供”だった。
いつも女の子に間違われていた。
瞬が誰かにいじめられるのも、誰かに庇われるのも、原因はいつも、その可愛らしさと弱さのせいだった。
それが、氷河の目には、媚を売って生きている猫のように見えて仕方がなかったのである。






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