「……氷河、眠った?」
「──」
「……。僕ね……僕は、もうずっと長いこと、氷河とこんなふうに過ごせる時を望んでいたんだ。ずっと欲しかった初めての夜を、僕はやっと手に入れた」
「──」
「これまで、ごめんね。ありがとう」


「──おまえはもう、別の何ものかに生まれ変わったりしない」
「……! やだ、狸寝入りしてたの!」
「俺も同じだ。俺たちは欲しいものを手に入れたから」
「……うん」
「目覚めても、明日が来ても、おまえはおまえで、俺は俺のままだから、安心して──もう寝ろ」
「うん……うん、そうだね」


大きすぎる幸福感は、むしろ不安を生じる。
その不安を完全には消し去れないまま、氷河の腕に両手でしがみつき、彼の肩に額を押しつけた瞬に、氷河は確信をもって断言した。

「大丈夫。俺たちの映画・・・・・・はハッピーエンドだから」






Fin.






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