兄と離れ、仲間たちと離れて、数年間を過ごした南の孤島。 そこでも、瞬には、夜は楽しいものではなかった。 昼間のうちは、自分自身が生き延びるために必死になることもできたが、夜はそうはいかない。 自分が明日も生きていられるのかということより、遠く離れた場所にいる兄や仲間たちは無事でいるのかどうかという懸念の方が、星が流れて消えるたびに、瞬を不安にした。 兄や仲間たちが今どうしているのかを知ることができず、彼等に何かが起こっていたとしても、今の自分には何をしてやることもできないという事実が、瞬の不安と焦燥を煽る。 不安は、夜の闇を実際よりも暗く深いものに感じさせ、瞬の心を 「泣いたって、どうしようもないだろ」 「泣いたって、どうにもならないよ」 善意から、もしかしたら悪意から、事あるごとに瞬にそう言う修行地の仲間たち。 彼等の言うことは尤もだと思い、事実だと思い、正論だと思う。 だが、彼等の言うことが事実だからこそ──兄や仲間たちに何かが起きても、自分には助けにいくことも慰めに行くこともできないからこそ──あの南の海に浮かぶ小さな孤島で、瞬は泣くことしかできなかったのだ。 |