「どうだ、あの二人は起きてきそうか?」 「窓の下にCDプレイヤーを置いて、『ソルジャー・ドリーム』をエンドレス・最大ボリュームでセットしてきた。あれだけムードをぶち壊してやりゃ、いくらあいつらでもこれ以上やり続けてなんかいられないだろ」 「ああ、それはいい。あれほど威勢よく萎えるBGMはないからな」 あくまで仲間の身体を慮っての不粋だという認識を抱いている星矢と紫龍は、自分たちのしでかしている妨害に、全く罪悪感を感じていなかった。 「……ったく、あいつら、アレは今しかできないもんじゃないってことがわかってんのかな。そんなにしたいんなら明日から毎晩すりゃいいだけなのに、覚えたてで浮かれてるサルだぜ、まるで」 「ほとんど同感だが、訂正が一箇所。『明日から毎晩』ではなく『今夜から毎晩』だな」 「うえ〜。あれだけやっといて、今夜もデキるって言うのかよ!」 「仮にも聖闘士だ。サルの体力や持続力と同列に並べるのは間違っているだろう」 紫龍の予言は、嘘八百を毎週並べ立てる週刊少年ジャ○プの次週予告などとは違って正確無比、その的中率は、ほぼ100パーセントである。 彼の予言は、もちろん、その夜現実のものとなったのだった。 ──行動はいつも幸せをもたらすものではないが、行動なくして幸せの実現はない。 失敗を恐れずに勇気をもって行動することで、人は幸福を手に入れることができるのである。 その上で、やりすぎに注意しさえすれば、人は自らの人生を完璧なものにできるだろう。 Fin.
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