ekstasis






「死ね、アンドロメダ!」

これは夢。
それは過去に言われた言葉。
僕は抵抗し、死にはしなかった。
大丈夫、僕は――。

僕は、でも、本当は彼に殺されてしまいたかったんだ。
そうすれば僕はもう二度と彼に『死ねばいい』と思われることはない。
僕が誰かにとって“死んでしまった方がいい存在”であることはなくなる。
だから――。



だから、瞬は動かなかった。
動かずに、その時を待っていた。
『誰か、とめて。僕をとめて。立ち上がって闘えと言って。せめて、逃げろと――』
もう一人の瞬が、瞬自身の身体と心の外で悲鳴をあげる。

瞬は生きていたかった。
確かに、生きていたいと思っていた。
だが、それ以上に強い心で、死ねばいい存在でなくなることを切望してもいた。
二つの強い心の間で立ちすくみ――結局、瞬は動くことができなかったのである。

鋭い風を感じる。
そして、“彼”の拳は瞬の上に振り下ろされた――。






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