俗世の富を捨て 信仰と清貧の生活に入った聖アントニウスの前には、悪魔が美しい女性の姿で誘惑に来たそうだが、氷河の許を訪れるのは、瞬の姿をした幻だけだったらしい。
瞬の不在を他の誰かで代用しようとしないという、ただその一点においてのみ、星矢と紫龍は 氷河の誠意と健気とを認めることになった。
アテナが提案した現状打破の方策は、瞬ではなく星矢と紫龍に対して 氷河の愛の証を立てることに効果を発揮したのである。

そうして、1ヶ月。
1ヶ月間、氷河は瞬と共に在ることのできない痛みを耐え抜いたのだった。






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