その日、夜になって城戸邸に帰ってきた女神こと城戸沙織は、ラウンジの惨状を見て怒髪天を突き、半壊したラウンジの後片付けを今日中に済ませることを、青銅聖闘士たちに命じた。
それが、あと1時間ほどで“今日”が終わりかけた頃のこと。

アテナの命令は、アテナの聖闘士には絶対である。
もちろん、星矢と紫龍は、沙織に命じられたことを遂行すべく、汗みずくになって頑張った――二人だけで。
彼等は、ラウンジを半壊状態にした張本人たちに、その作業を手伝わせることはできなかったのである。
沙織の帰宅前に、張本人たちは氷河の部屋に閉じこもってしまっていたので。




――人生に、人間を心の底から驚かせ、今まで持っていた考えを棄てさせてしまうような出来事は、たったひとつしかありません。

By Robert Louis Balfour Stevenson  『恋愛について』




Fin.






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