国というものが、その世界に住む人々の合意のもとに取り決められた国境によって分けられるものなのであれば、世界が一つの国に統一されることは それ以後もありませんでした。
地上の国々は、それぞれの土地に根差した文化を育んでいて、それは ある場所では融合することもありましたが、別の場所ではその独自性を保ち続けたのです。
氷河王子と瞬王子が目指した平和は、一人の強大な王が世界のすべてを支配することによって成る平和ではなく、すべての異なる国々が互いの文化と価値観を尊重し合うことによって生まれる平和でした。

実は、瞬王子に未練たらたらだった黒衣の神は、それ以後もたびたび瞬王子にちょっかいを出し続けました。
そして、そのたびに、氷河王子と瞬王子の抵抗に合い、最後には女神に引きずられる形で彼の国に帰っていくことになったのです。

時に そんなふうな ちょっとした騒ぎはありましたが、二人の予言の王子と彼等に共鳴し協力する多くの人々の尽力によって、世界には少しずつ少しずつ、氷河王子と瞬王子の提唱する平和の概念が浸透していったのです。
人は人を知り理解しようと努めることで、愛を生み、平和を築くことができます。
氷河王子と瞬王子も、毎日毎晩 それは熱心に互いを知ろうと努めて、二人は 二人の間に大層深い愛を育んでいったのだそうです。

ずっとずっと昔、あるいは ほんのちょっとだけ昔の、ある世界でのお話です。






Fin.






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