『パパとマーマとナターシャのえ』を どうもありがとう。
俺がほしかったのは、ナターシャの描いた あなたの絵だったんだが、ナターシャにとって あなたは“パパとマーマとナターシャ”という一つの家族の一員なのかもしれないな。
ナターシャにとって、それこそが完全な絵だというのなら、それはナターシャにとって とても幸福なことだろうと思う。

ところで、パパとマーマとナターシャの後ろに、花と一緒に描かれているのは 俺なんだろうか?
俺は 相変わらず猿のままか。
……文句を言うつもりはないんだが。

先日の手紙に書いた、俺が子供の頃から気にしていることというのは――戦いのことでも、地上世界の平和に関わることでもないので、安心してくれ。
気にしないでほしい。

いや、いい機会だから、やはり確かめておこう。
ずっと あなたに訊いてみたかったことだ。
紫龍に訊いても、星矢に訊いても、アテナに訊いても、笑って教えてくれない。
一輝には、恐くて訊けなかった。

返事は急がない。
答えたくなかったら、答えてくれなくてもいい。
でも、できれば――そうだな。
あの人との戦いが終わったら、教えてください。
その答えを聞くために、俺は、あの人との不毛な戦いに挑み、勝利し、生き延びよう。

そして、その答えによっては、俺は 今度こそ 全力で あなたを思いとどまらせます。
俺は、あなたの人生を正すための正義の戦いを始める。
それは、あの人との戦いに比べ、どれほど有意義で有益な戦いになることか。
その戦いに、俺は もちろん勝つでしょう。

俺が子供の頃から ずっと気に掛かっていたこと。
ずっと、あなたに訊いてみたかったことを、尋ねます。

『あなたは氷河を愛しているんですか?』

答えは、いずれ聖域で。
貴鬼



拝具






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