私は、それ以来、私の創造主に会っていない。
私は今、21世紀の聖域というところにいる。
もともと 19世紀の欧州に生まれてくるはずではなかった私を、瞬さんたちが連れてきてくれた。

ここには、私やナターシャちゃんのように死体を繋ぎ合わせて作られた人造の人間はいないが、別の方法で人工的に作られた命を宿した人間や、尋常の人間には持ち得ない力を持つ人間が 大勢いる。
私より傷だらけの人間もいる。
ここでは、誰もが特別で、みんなが普通。
みんなが、世界の平和という一つの同じ目的のために生きている仲間同士だ。

ナターシャちゃんが、先日、ケーキのモンブランを日本から持ってきてくれた。
甘くて、美味しくて、本当にびっくりした。
今度、有志を募って フランスのシャモニーに行き、本物の(山の)モンブランに登ってみようという計画が、聖域で持ち上がっている。
私のために立ててくれている計画なので、嬉しいことは嬉しいのだが、私の本音は ちょっと違う。
「私は 本当はケーキのモンブランの山に登ってみたいんだ」
と、こっそりナターシャちゃんに本音を打ち明けたら、ナターシャちゃんは、
「ナターシャもダヨ !! 」
と、大いに賛同してくれた。

この時が永遠に続けばいいと願う。
生きていることは、本当に楽しい。






Fin.






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