そのために、私は、自分のお小遣いで世界中の科学者たちを雇って、タイムマシンを作らせた。
そして、今、こうして、1000年前のギリシャ・聖域の地に立っているわけなの。

私が雇った学者たちは、なかなかいい仕事をしてくれたわ。
私がこの古代の聖域に着いたのは、ちょうどドラゴン紫龍が天秤宮で、ソードを一閃させたその時だった。
ああ、それにしても、ドラゴン紫龍。どうして彼は、何かするたびにいちいち服を脱ぎたがるのかしら。
あれが氷河だったら、私だって喜んだかもしれないけども。


ま、そんなことはどうでもいいわ。

何はともあれ、紫龍のソードは氷の棺をぶち切った。
まるで粉塵みたいな水蒸気が辺りに立ち込め、その水蒸気が消え去った時!
私の視界に、瞬ちゃんの姿がっ!
飛び込んできたのよっ!


ああああああああ、なんてなんて可愛いのっ!
古代の映像資料で見た通りのピンクの聖衣。
大きな瞳に、噂の細腕。
歴史に介入することが罪でないのなら、私はとっくに天秤宮の柱の陰から飛び出して、サインを貰いに、瞬ちゃんの側に駆け寄っていっていたと思うわ。

でも、私はぐっとこらえた。
私は、強く賢く美しいだけでなく、理性的な人間なのよ。うふん。






【next】