「…………」 私は、氷河の蘇生を喜んでいる瞬ちゃんを、しばらく無言で見詰めていた。 「さん、色々ご心配おかけしてすみませんでした。氷河、もう大丈夫みたい」 私ににっこりと笑いかけてくる瞬ちゃんに、私は引きつった笑みを向けた。 ──その時には、私はもう決意していたの。 あれほど手に入れたいと思っていたノーベルやおい文学賞を諦めることを。 それどころか、卒論の提出を諦め、留年する覚悟もできていたわ。 「よかったわね、瞬ちゃん」 私は、にっこり微笑いながら、氷河の復活を喜んでいる瞬ちゃんの側に近寄り、そして、私の持てる力の全てを込めた空手10段の鋼鉄の拳を、瞬ちゃんの腹にのめり込ませていったの……。 「さん……どうして……?」 瞬ちゃんは、不思議そうな悲しそうな瞳を私に向けて、ゆっくりと、その場に崩れ落ちていったわ。 |