タカギ君、トホホ遠足日記 下宿先の子供たちと動物園へ




●MICAおばさん
タカギ君は、下宿先の子供たち(長男の子供たち)から「MICAアンティー(おばさん)」と呼ばれている。日本語で「おばさん」と呼ばれたら、「おばさんじゃないでしょ、お姉さんでしょ。」と、やや語気を荒げて訂正してしまうところだが、まあ実際、いい年こいているわけだから、そういうのも大人げないんで、ここでは甘んじて受け入れている。(ー_ー)

MICAアンティーは子供たちの人気者(だと信じている)。料理を作らせればホテルのコック並み、絵を描かせればデザイナーみたい。そして、なんと言ってもおねだりのしやすい人だと思われているようだ。

あからさまな「おねだり」はないものの、「学校も休みになったし、どこかグムネ(散歩)にいきたいネー、アンティー」と、リトゥにボソッと言われただけで、「なに?お出かけとな?どこ行きたい?」と、すぐにはなしに乗ってくるMICAアンティーは実に単純だ。タカギ君の本当の兄妹は、お兄さん一人。しかも幼少時からヒジョーに仲が悪かったので、こういう「きょうだい仲良くどこかへお出かけ」っていうシチュエーションに観念的に弱いってこともあるんだ。いいお姉さんづらしたい。ああ、慕って、慕って〜。

……ということで、先日(1月8日)子供たち4人を連れて、MICAアンティーは動物園に出かけたのでした。

●いざ動物園に遠足へ!
18歳のリトゥを筆頭に、17歳のバルサ、15歳のシーザン、10歳のシスティーン(二番目のお姉さんの子ども。たまたま家に来ていた)を引き連れて出かけたタカギ君はまさに、学校の先生のよう。とにかく子どもら騒ぐ騒ぐ。大家族のせいか、めったに家族そろっての外出などしたことがないそうだ。「動物園に行ったのはもう何年も前のことだわ〜」とリトゥ。10歳のシスティーンとたいして変わらないはしゃぎぶり。ネパールの子供たちって、日本の子どもと比べるとかなり幼い(感じがする)。それぞれの実年齢から4歳ぐらい引いた歳だと思ってないと、「おいおい、おまえ、もうすぐ高校卒業だろ」という突っ込みを入れたくなるくらいだ。

ネパールのいわゆる「いいとこの子ども」には学校と家しか世界がない(ように見える)。学校から帰れば山のような宿題と迫り来るテストのために即、勉強を始める。もちろんバイトなんかしないし、夕方暗くなるまで外で遊んでいるってこともない。休みの日もほとんど家にいて、家の手伝いや家族と過ごしていることがほとんど。この興奮ぶりもその反動ってとこか。


●動物園への行き方と入場料
郵便局の前から14番のサッファーテンプー(電力車)に乗る。動物園のあるパタン市内まで約20分ぐらいの道のり。ひとり7Rs.なり。動物園の前で水とミカンを買う。家から持ってきたとっておきのお菓子、グリコのポッキーもかばんに入れてあるんだ。遠足気分が高まってきたぞ。入園料はひとり15Rs.タカギ君はビデシ(外国人)だけど、学生証を見せたら30Rs.になった。前回来たのは99年の7月。その時は100Rs.ぐらい払ったと記憶しているから、学生証の威力はかなり発揮されたみたいだ。

ミカン噛み噛み、ポッキー食べ食べ歩いていたんだけど、引率者というよりはほとんどお母さんの気分でしたね。はい、水はここよ、ゴミはこの袋に捨ててねって。


●ネパールの動物園にいる動物達
しっかし、ネパールの動物園って地味なんだよね〜。目玉といえばトラとクマぐらいなんだもん。トラ&クマは、「本日のおすすめ(明日も明後日も……)」よろしく、これでもかというくらい大きな敷地をさいてもらっているものの、日中は特に動き回ってもくれないし……。「へ〜、トラねえ。ああ、あれでっか」「クマですか。意外に小さいもんですな」って感じですぐ終わっちゃう。ほかの檻にいるのは地味な小動物ばっかりだ。モルモットなんか、展示するか、ふつう?ふれ合い動物広場じゃあるまいし。ニワトリも何種類もいて、「日本ニワトリ」のコーナーもあったですよ。コケ。

そして、ひととおり動物達を見終わったあと、恐怖の「おねだり」が始まったのでした。


●恐怖のおねだり攻撃
「MICAアンティー、システィーンがアイスが食べたいっていってるの」とシスティーンを前に押し出すリトゥ。(ホントはおまえも食べたいんだろうが……と思うタカギ君)
「わ、私はモモが食べたいなあ。ねえ、みんな、モ、モモとアイスとどっちがいい?」と聞くと、4人口を揃えて「アイスクリーム!」と言うじゃないか。(やっぱりみんな食べたいんじゃないか!……と思うタカギ君。ちなみに、モモひと皿15コぐらい入っているヤツでも、アイスクリームよりはるかに安い。)「ここは席もないし、動物園の中は高いから外に行こう。もうどっか見たいところはないの?」と言うと、「無い!」と即決。動物園滞在時間は、わずか1時間でした。

動物園の前にあったレストランで子どもらにアイスクリームを食べさせ、タカギ君は「早く帰ろう、もう帰ろう」と思ったことでした。

帰りのバスを降りて家までの帰り道、リトゥが「MICAアンティー、モモは食べなくていいの?」と聞く。バカな、もう家は目と鼻の先だ。こんなところで買い食いするかっツーの。「おばさんね、トイレに行きたいから、早く帰りたいのよ」というと、子どもらはあきらめたのか、黙ってついてきた。

●子どもが天使だというのはウソだ!?
し、しかし、信じられないことに、途中の雑貨屋でチャウチャウ(ベビースターラーメンみたいな乾麺)を2つ買って道道食ってるじゃないか!おまえたち!なんで買い食いできるような金持ってんだ!(ネパールの子供たちにはお小遣いというモノは基本的にない。必要なときに必要なだけ親からもらうのがシステム。)その金どうやって手に入れた!

……この時、ふっと、タカギ君の頭によぎった。子供たち、動物園の入園料ぐらいの金は、家の人からもらったのじゃないかしら?と。

前回踊りのプログラムを見に連れて行ったときに、帰り際、リトゥが「これ、お母さんから預かったお金なの。」と言って、50Rs.くらいを渡してくれたことがある。今回もそういうお金があったかもしれない、という線は濃厚である。しかし、今回はそうして手渡されたお金はなかった。まあ、今回の動物園グムネは、タカギ君が「行く?」と聞いたものだから、基本的にはタカギ君がサウニーでいいのだけど、それにしても、それにしても……

「おまえたち、親からもらったお金、ガメただろ。」

子どもってヤツは、どこに行ってもこういう小ずるいところがあるもんなんですかねえ?