「ジャエジャエ、朝っぱらからうるせーんだよ!(`◇´)」
2000年10月7日




解説:現在ネパールはダサインの真っ最中。ダサインというのはネパール最大のお祭りである。この時期にネパール人はそれぞれの実家のある村に帰ったり、家にお客さんを招いてご馳走を振舞ったりする。日本の正月みたいなものか。バザールはダサインのための買い物客でごった返しているが、それ以外のところはまるで、三が日のような閑散ぶり。人、車の数が激減して、ひととき、カトマンズの空気も清浄化する。
 ご存じの方も多いかもしれないが、カトマンズは、世界でも有数の大気汚染地帯なのだ。古い車が多いせいで、街の中枢道路は、真っ黒い排気ガスが常に充満している。朝晩の渋滞時には頭がくらくらするくらいなんですよ。
 
 ダサインの関係なのかどうか知らないけど、ここ1カ月くらい、タカギ君の家の前にあるバウンの家からは、「神様に捧げるバザン(音楽)」が鳴り響いている。実にアジア的な風物である。初めのウチは「ホホー、神にささげる歌がどこからともなく聞こえてくるなんて、実に味わい深い夕暮れ時であるよ」なんて呑気に構えていたのだが、、、、し、しかし、そういう大らかな気持ちでこのバザンを聞いていられたのも、そう長いことではなかった。

 なんということだ。バザン朝部門の開始時間が日に日に早くなっているじゃないか!いったい今何時なんだ。タカギ君は部屋の明かりをつけて時計を見る。う、、、4時半、、、。最近はこの近所迷惑なバザンにはどうにも我慢がならない。こっちはヒンドゥーの信仰なんかない一般ピープルなんだ、神にささげる歌なんより、安眠だ。クソー、何とかしてくれ!……という怒りに狂った時の一言。

 タカギ君はこの神様に捧げる歌のことを、憎しみを込めて「ジャエジャエ」と呼び、向かいの家を「ジャエ小屋」と呼んでいる。「ジャエジャエ、サラサーティー」とか「ジャエジャエ、ナマシヴァー」とか、言ってるのを聞くと「ジャエ」はどうやら神を讃える言葉らしいが、そんなことはタカギ君にはどうでもいいんだ。今朝も朝4時からジャエ小屋の住人は、起き出して有り難いジャエ歌を歌っていた。最近のタカギ君はすっかり観念し、耳栓をして寝ている。