質問:ネパールのカースト制度ってどうなっているの?


>素人目にはネパールにはインド系とチベット系の人がいる(随分大ざっぱですが。。)
>(ように)見えるのですが、MICAさんが滞在している家はネワールの家庭とのこと。
>どの位の数の民族がいるのでしょうか?また、それはどのようにidentify するので
>しょうか?名前?出身地?しぐさ?食べ物?宗教(ヒンズー教 xxx 派などの)?
>彼らはミックスしているのでしょうか?結婚などはどうなっているのでしょうか?
>純血主義?またネパールではカーストがきつくないとのことですが、
>外国人が身近に感じるカースト制度というのはどんなものがありますか?
>ちょっと想像がつかないので。。。



回答: タカギ君は専門家ではないから、間違っていることが書いてあるかもしれません。でも、一応ちゃんと取材して書いたので、もし間違っていたら、今度ウソを教えたヤツにゲンコツくらわせます。タカギ君を責めないでね。ぶりぶり。


初めに、ネパールでは「宗教の話とカーストの話」をするのは非常に難しい、ということを断っておきます。きっちりと説明することは不可能に近い。もしくは一晩あっても足りない。だいたい、国の宗教をヒンドゥー教と定めておきながら、ヒンドゥー教の祭りの時に(例えばインドラジャットラ)、非常に重要な役目(例えばクマリや、バイラブや、ガネーシャ)をヒンドゥー教以外の人(例えば仏教徒であるサッキャ族の子ども)がやるなんて信じられます?

当然この限られた紙面での十分な説明は、はっきりいって無理。だから、ごくごく簡単にさらっと説明したいと思います。タカギ君よりネパールのカーストのことについて詳しい人、正しい突っ込み待ってます。


●モンゴル系・インド系の2民族系統
このインド系、モンゴル系の中でもジャート(民族)によって顔つきが違ってくるので、非常にややこしい。現在確認されているジャートは36種類。この他、未確認のものを含めると、もっとたくさんあるとか。



●ネパール人を区分するキーワード
ネパールの人々を区分する場合、キーワードになる言葉がいくつかあります。


・ヴァルナ(ジャートの別名)=顔つきの系統、あるいは民族のカテゴリー。ネワール族
               グルン族、シェルパ族、とか呼ばれる各民族のこと。

メインカースト=大きくわけて4種類。
         ブラーマン(司祭)、チェットリ(貴族・軍人)、バイシャ(商人)
         シュードラ(不可触民)。
         ブラーマンが一番カーストが高く、シュードラが一番低い。


サブカースト=大別された4つの中で、さらに細かく分かれたカーストのこと。
        もともとは世襲の職業を表す分類であった。今は実際の職業と一致しな
        い人もいる。
        それぞれに高低がある。ブラーマンの中でも、位の高いブラーマン、
        位の低いブラーマンがある、ということ。



一般に、この3つを組み合わせたものがネパール人のアイデンティティーを決定します。
例えば、この用語を用いて、ホームステイ先のサッキャファミリーを説明するならば……

ヴァルナはネワール、メインカーストはバイシャ、サブカーストは宝石服飾関係の職人。
……となります。

一方、同じネワール族の、バジュラチャリア姓について説明すると、ヴァルナはネワール、メインカーストがバイシャ、サブカーストが神様関係のお仕事、となります。サブカーストを比べたとき、バジュラチャリアが、わずかにサッキャよりもカーストが高いんですって。

ヴァルナ(ジャート)、カーストはフルネームを聞けばだいたい分かるような仕組みになっているそうです。名前の最後が「シェルパ」「グルン」「タマン」とかいえば、それぞれシェルパ族、グルン族、タマン族、というヴァルナに属すことがわかります。もちろん、それぞれのヴァルナに姓名のバリエーションがあるので、必ずしも一回聞いただけですぐわかるとは限りませんが、どんな世襲職業カーストかまで、わかる人が聞けばわかるようにできているんですって。姓名のヴァリエーションといえば、タカリー族には姓が4種類しかないそうです。

「シェルチャン」「ゴウチャン」「トラチャン」「バッタチャン」。
なんか、かわい〜!(^◇^)


ただ、自分の名前をフルネームでいうことを嫌がるネパール人もいることを知っておいてください。それは、フルネームをいえば自分のカーストが何に属するのか、わかってしまうため、素性を知られたくない人は言いたがらないものなのです、と、タカギ君が取材したときには、そう聞いた。

あああ、なんか、話がきわどくなってきた。



●カースト間の結婚事情
他の民族に関しては調査不足でわからないんですが、少なくともネワール族の結婚に関してわかっているのは、「サッキャ」という名前の人々は、同じ「サッキャ」同士か、カーストのレベルが同じ「バジュラチャリア」という名前の人としか結婚できません。あとは外国人。外人は「アウト・オブ・カースト」だから。ただし、外人と結婚したサッキャ族の人間は、サッキャ族サークルの互助システムから外されます。下宿先の家族の二番目のお兄さんの奥さんはアメリカ人で、現在アメリカに住んでいますが、お兄さんはもう、サッキャ族の古くからの互助サークルの輪には入れないそうです。
男の人が低いカーストの女性と結婚することは、ネパール社会では許されないこと。まれに、ラブマリッジを貫く人もいますが、ダンナの家族からの村八分を覚悟しないとなりません。きびし〜。。。


ふぅ。……カーストの話はこのくらいで終わりにしておきましょう。もっと知りたい人は、この際、ネパールにきて、実際その目で確かめることを勧めます。