「きゃわおかーさん。僕、ゆきむらさんに、おかーさんに言われた通りに答えておきましたけど、そのせいで、氷河が元気なくなっちゃったんです。どうしよう……」 無事にインタビューも終了した30分後。 氷河の命を守り抜いた瞬は、己れの産みの親に事の次第を報告すると、少し心配そうに睫毛を伏せた。 彼の産みの親であるところのきゃわは、しかし、全く心配などしていない。 インタビューの無事終了を喜んで、けらけら気楽に笑っている。 「いーの、いーの。自信過剰男にはいい薬よ」 「でも……」 どんなにちゃらんぽらんでも、親は親。 きゃわには、瞬の瞳が曇った訳が手に取るようにわかっていた。 「今夜のことなら、だいじょぶ、だいじょぶ。あの自信過剰男は意地になるタイプだからね。今夜はきっと、いつもよりうんとスゴイわよ」 「え? そ…そうかな?」 素直・単純・脳天気が売りの瞬は、きゃわの安請け合いを真に受けて、すぐに嬉しそうに微笑した。 あまりにも簡単にいつもの明るい笑顔を取り戻した瞬を見て満足そうに頷いたきゃわは、事のついでとばかりに、瞬に尋ねてみたのである。 「で、実際のとこはどうなの? 瞬ちゃん、失神することなんてあるの? おかーさんにだけこっそり教えてくれる?」 「え?」 きゃわに尋ねられた瞬が、くすくすと、なにやら思い出し笑いをする。 それから、瞬は、 「それは、おかーさんにも、氷河にも秘密です」 そう言って、花のようににっこりと満面の笑みを浮かべたのだった。 Fin.
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