芸能界デビューに、メイドロボたちはためらいを覚えていました。
なにしろ、命の恩人である氷河と瞬の役に立つことが、メイドロボたちの生き甲斐でしたから。
そして、それよりも何よりも、メイドロボたちは氷河と瞬が大好きで、二人の側を離れたくなかったのです。


けれど――。

ご近所の人たちがダンス発表会を喜ぶ顔を見て、瞬が嬉しそうにしている様子を見てきただけに、メイドロボたちは悩みました。

「もし僕たちのダンスで世界中の人たちが喜んでくれたら、瞬様はもっともっと喜んでくださるのかもしれない……」
「本当に氷河様と瞬様の役に立つって、そういうことなのかしら」
「瞬様はいつも、ご自分のことより、氷河様や他の人たちのことを考えてらっしゃる方だものね」
「僕たちも、僕たちのことより、世界中の人たちのことを考えるべきなのかしら……」


メイドロボたちは本当に本当に悩みました。
悩みに悩んだメイドロボたちは、そして、世界中の人たちのために、自分の心を犠牲にすることを選んだのです。

まるで、海のおばけに我と我が身を差し出したアンドロメダ姫のように……。






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