氷河の怒鳴り声を聞いて、メイドロボたちはじわっ☆ と瞳を潤ませました。
そして、とても辛そうな目をして言いました。

「だって、僕たち、僕たちが世界中の人を楽しませてあげたら、瞬様が喜んでくださると思ったんだもの……! 氷河様も、僕たちのこと自慢に思ってくれるようになるに違いないって思ったんだもの……! 僕たちはいつだって、瞬様の笑顔と、いつも僕たちを助けてくれる氷河様のために踊ってたんだもの〜っっ !! 」

「僕たち、ずっと瞬様と氷河様の側にいたいよぉ〜っっ !! 」
「えーん、えーん、えーん」
「あーん、あーん、あーん」

そうして、メイドロボたちは、涙涙の大合唱を始めてしまったのでした。


メイドロボたちがプロデビューを決意した訳を知った瞬は、
「1号ちゃん、2号ちゃん、3号ちゃん、4号ちゃん、5号ちゃん、6号ちゃん、7号ちゃん、8号ちゃん、9号ちゃん、10号ちゃん、11号ちゃん、12号ちゃん、13号ちゃん、14号ちゃん、15号ちゃん… !! 」
と、メイドロボたちの名前を呼んで、すぐにメイドロボたちを芸能プロダクションのスカウトさんの手から奪い返しました。

「15号ちゃんたちったら、そんなことを考えていたの? 僕はてっきり、15号ちゃんたちが本物のスポットライトを浴びたいのだとばっかり……」
健気なメイドロボたちに、瞬の瞳にも涙がにじんできていました。

「その決意はとっても立派だけど、駄目だよ。15号ちゃんたちはまだ小さな子供なんだし、人を幸せにするってことはそんな単純なことじゃないの。15号ちゃんたちが望んで芸能界デビューするっていうのなら、僕は寂しくても我慢できるけど、15号ちゃんたちが自分の心を曲げてそんなことするっていうのなら、そんなこと僕は許せない。15号ちゃんたちのダンスはね、15号ちゃんたちが幸せだから、楽しそうに踊っているから、みんなを幸せにできるの。そんな悲しい心を抱えて踊るダンスなんて、きっと見てる人たちまで悲しくなっちゃうよ」

「瞬様……。僕たちここにいてもいいの?」
「瞬様は、それでもがっかりしたりなさらないの?」

つぶらな瞳で瞬を見上げ、不安そうに尋ねるメイドロボたちに、瞬は、こっくりと頷きました。
「メイドロボちゃんたちは、芸能界で大活躍なんかしなくても、僕と氷河の誇りだよ」

「瞬様〜〜っっ !!!! 」 × 15

瞬と氷河の側にいてもいいのだということを知ったメイドロボたちは、小さな小さな手で、必死に瞬の腕にしがみつきました。

「これからもずっと、みんな一緒にいようね」
瞬のその言葉に、メイドロボたちは盛大に嬉し泣き。


いいですよね、泣いたって。
嬉しい時には、男の子だって泣くんです。






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