庭の宇宙船発着場では、離陸準備の整った15人乗りPIZZA−LA−Lサイズ型UFOが、冒険の始まる時を待っています。 氷河は、家の窓から、そのPIZZA−LA−Lサイズ型UFOに向けていた視線を、テーブルの上に整列している彼の小人たちに戻しました。 銀色のスペーススーツを身につけた彼の15人の小人たちは、これから始まる冒険への期待に頬を上気させ、つぶらな瞳で氷河を見上げています。 氷河は、本当は、彼の可愛い小人たちを、どんな危険が待ち受けているかもわからない宇宙に旅立たせるのは、とってもとっても嫌でした。 不安でした。 けれど。 広い宇宙を見てみたいと望む小人たちの意思を無視して、無理に自分の許に引き止めておくことは、氷河にはできませんでした。 そんなこともできないくらい――小人たちを束縛することもできないほどに――氷河は、彼の小人たちを愛していたのです。 「万一の時には、あのPIZZA−LA−Lサイズ型UFOを非常食料にして、頑張って、生き延びるんだぞ! おまえたちがUFOを全部食べ終わるまでには、必ず俺がおまえたちを助けに行く。俺は、この広い宇宙の中から、必ず、おまえたちを探し出してみせる。だから、たとえ何が起こっても、慌てず、騒がず、俺の救助を待っているんだ」 「はーい」× 15 小人たちは、それでも心配の気持ちを消し去れずにいる氷河に、良い子のお返事をしました。 氷河の人差し指サイズの小人たちの声は、長さも高さも大きさも、相変わらず綺麗に揃っています。 「よし。では、その際の細かい注意事項も言っておく。
「はーい。じゃあ、僕たち、美味しいお菓子探しの旅に出発しまーす」× 15 元気な小人たちの返事を聞いた氷河が、今更ながらの溜め息をひとつ。 「ほんとに、言い出したらきかないんだから……。無事に帰ってくるんだぞ、おまえたち」 「大丈夫だよ、氷河。じゃあ、行ってくるね!」× 15 その先に何が待ち受けているのかもわからない宇宙に飛び立とうとしているというのに、小人たちの表情には怖れのかけらも見えません。 小人たちの胸の中は、未知の星と未知のおやつへの期待でいっぱいだったのです。 そんなわけで、氷の国星に氷の国星の氷河をひとり残して、大宇宙への冒険に乗り出すことになった氷の国星の小人たち。 たくさんの愛と勇気と夢と希望を抱いた小人たちの冒険が、今、始まりました! |