瞬が指差した先──それは、彼等の頭上、本来なら青い空のある場所でした。
今は、そこに、青い空はかけらも見えません。

空と氷河たちの間には、実にとんでもない物体がでででででんっ★ と横たわっていたのです。

「瞬様! 氷河様! 大変ですー !! 」
氷河に遅れて瞬を追いかけてきたメイドロボたちも、空の上にある──もとい、空の下にある──脅威の物体に恐れをなして、必死に瞬と氷河の許に駆け寄ってきました。


彼等の頭上に出現したもの──それは、

「宇宙船……? あんなに大きな?」

それは、氷河と瞬の家を中心に半径50キロ四方の空を覆い尽くす、『インディペンデンス・ディ』もびっくりの超巨大宇宙船だったのです!



説明しよう。

半径50キロの宇宙船ということは、直系100キロの宇宙船ということである。
日本国内に例をとるなら、トーキョーからフジ山、ナゴヤからキョート、オーサカからトクシマまでが、約100キロ。

今、氷河と瞬の頭上に現れた宇宙船の作る影の中には、おそらく数千万に及ぶ人類が存在する。
犬や猫や鳥や牛や豚や魚や爬虫類や──中略──昆虫や微生物も、その下にいる。

氷の国星の小人たちの駆るPIZZA−LA−Lサイズ型UFOの直径が40センチ弱であることを考え併せれば、氷の国星の科学力が地球のそれをはるかに凌駕していることは、言をまたない事実だった。



「あれって、もしかして……」
「他に考えられないな」

無限に広がる大宇宙の片隅に存在する小さな星に、そうそうよその星からのお客様が訪れるはずがありません。

ともあれ、この場合は、氷の国星の小人たちに確認してもらうのがいちばんです。
「メイドロボちゃんたち、氷の国星の小人さんたちを起こしてきてくれる? 慌てないでいいけど、なるべく急いでね」
「はい!」× 15

瞬の指令を受けたメイドロボたちは、慌てず急いで、覚えたての一列横隊でメイドロボハウスへ向かいます。

その後ろ姿に、瞬は、
「暗いから、転ばないように気をつけてねー!」
と、声をかけました。

こういう重大な時には、何をするにも細心の注意が必要なのです。







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