時間は、本当に、もうあと少ししかありませんでした。 氷の国星の小人たち、メイドロボたち、なぜか瞬までぶらさげた氷河は、超光速で、窓のすぐ脇に立っていた楡の木に取りつき、次の瞬間には、彼等は氷瞬家の屋根の上にいました。 それとほとんど同タイミングで、超巨大宇宙船の外壁が白く光り輝き始めます。 「ああっ、始まっちゃう! いくよ、フォーメーションG! スタンバイ!」 「ラジャー!」 「用意はいいか」 「スタンバイ完了」 「位置につけ」 「よ〜い、どん!」 合図と号令も、いつもの5倍増しのスピードです。 氷の国星の小人たちは、そうして、再び、まばゆい光に包まれ合体を果たしたのでした。 「合体瞬ちゃん、これを羽織って」 瞬が差し出したのは、さっき物干し場から持ってきたばかりの白いブランケットでした。 おーるぬぅどの合体瞬へのせめてもの心遣いです。 「ありがとう、おっきい瞬ちゃん」 地球の瞬と氷の国星の瞬が、心温まる瞬同士の交流を交わしている間にも、事態は刻一刻と進展していました。 「見ろ! 宇宙船の光が消えた!」 「氷河様、地球は救われたんでしょうか……?」× 15 氷河にもはっきりしたことはわかりませんが、彼は、"氷河"の直感で、最低最悪の危機的状況だけは免れた──ような予感はしていました。 氷河と瞬とメイドロボと氷の国星の合体瞬が、上空の超巨大宇宙船を見詰めていると、やがて、宇宙船の下部が開き、そこから何やらきらきらしたものが噴出され始めます。 「なんだ?」 「わぁ、綺麗……」 瞬が、その美しさに目をみはっている間に、そのきらきらした光のような物体は、徐々に、あるものの形を成しながら、下へ下へと伸びてきました。 そう。その不思議な光は、宇宙船と氷瞬家の屋根を繋ぐ階段を作っていたのです。 その光の階段が氷の国星の合体瞬の足元に届いた時が、お別れの時でした。 |