たれたれ氷河さんに『先輩』と言われて嬉しかったたれたれ瞬ちゃんは、翌日、張り切って、小人たちをキッチン基地防衛隊本部テーブルの上に集合させました。

本部の前には、エベレストサイズのレーズン・ブランデーケーキが、でででででんっ★ 


何ということでしょう!
実は、たれたれ瞬ちゃんも、“大人のたしなみ”とは酒とタバコのことだと思っていたのです!
でも、小人たちにタバコは危険ですから、たれたれ瞬ちゃんは、小人たちのために大人の味のケーキを用意したのでした。


「さあ、小人さんたち、食べてv 大人の味だよ。恐くないよ」

「わーい !! たれたれ瞬ちゃんのケーキだーっっ !!!! 」× 15

たれたれ瞬ちゃんに大人味のケーキを勧められた小人たちは、脇目もふらず一直線にブランデーケーキに取りつきました。
小人たちは、たれたれ瞬ちゃんのケーキを見ると突進していく癖がついてしまっていたのです。
これを条件反射といいます。
パブロフのわんちゃんでお馴染みですね。


『人はなぜ山に登るのか』
『そこに山があるからだ』

↑ これも、条件反射の一例です。


つまり、条件反射に思考は関係ありません。
何も考えず、ただひたすら、無心に、無我の境地でもって、小人たちは、自分の身体の何十倍も大きいブランデーケーキに挑みかかったのでした。


「はむはむはむはむ」
「ぱくぱくぱくぱく」
「もぎゅもぎゅもぎゅもぎゅ」
「むしゃむしゃむしゃむしゃ」

悟りを開いた偉いお坊さんのように、無心でブランデーケーキを食べ続ける小人たち。
やがて、小人たちの身体に、小人たちの意思とは関係のない、ある変化が現れ始めます。


「ほわわわわ〜んv いい気持ち〜」
「わ〜い、テーブルがぐるぐる回ってる〜」
「はにゃ〜ん、ケーキが飛んでるよ〜」
「やだー、9号が6人もいる〜」
「綿菓子の上を歩いてるみたい〜」
「大人の味って気持ちいい〜」
「ほんと、大人って素敵〜vvv」

小人たちは、ケーキのブランデーに酔って、すっかりほっこりいい気持ち。


小人たちのその言葉を聞いたたれたれ瞬ちゃんも大喜びです。
「小人さんたち、大人の味をわかってくれたんだねっ !! 」


小人たちに大人の味をわからせるという重大任務を、“先輩”として、立派にやりとげることのできたたれたれ瞬ちゃんは、酔っ払い小人たち以上に浮かれていました。

「わーい、氷河、僕、ちゃんとできたよー !!!! 」

感動の余り、たれたれ瞬ちゃんは、ダイニングテーブルに15人の酔っ払いを残したまま、無事に任務遂行したことを褒めてもらうために、たれたれ氷河さんの許に駆けていきました。



たれたれ氷河さんが、
(そ…そーじゃないんだ、大人のたしなみってのは!)
と思いながらも、たれたれ瞬ちゃんを褒めてあげたのは言うまでもありません。




いや〜、“氷河”って、本当に大変な職業ですね〜v