働かざる者、食うべからず。 そして、絶望は愚か者の結論です。 ビルの窓拭きが氷の国の氷河向きの仕事でないことを悟った9号は、けれど、それで氷の国の氷河を見放してしまったりはしませんでした。 勤勉な9号は、氷の国の氷河(と自分のたちのおやつ)のために、早速、次の仕事を探してきたのです。 9号が、氷の国の氷河(とおやつ)のために見付けてきた次なる仕事。 それは、保育園の保父さんの仕事でした。 ビルの窓相手の仕事よりも、子供相手の仕事の方が、氷の国の氷河には向いているのではないかと、お利口な9号は考えたのです。 我慢というものを知らない子供たちに接する仕事で必要なものは、一にも二にも忍耐力。 その忍耐力はどこから生まれるかと言うと、愛情から。 愛情と忍耐力に(だけは)秀でている氷の国の氷河なら、見事にその仕事をこなしてくれるに違いありません。 9号の目のつけどころは確かでした。 ところで、昨今は、子供の数の減少が世界的な問題になっています。 となれば、保育園も客商売にして人気商売。 保育園の経営陣は、人気のある保父さんの確保のために血まなこになり、保育園に雇われた保父さんたちは、子供たちのご指名を受けるために必死の努力を重ねます。 現代の保育園は、子供がお客さんのホストクラブと大差のないことになっているのです。 少なくとも、氷の国の氷河が勤めに出ることになったちゅうりっぷ保育園はそうでした。 |