そんなこんなで、小人たちの出演が決まった、今週のミスターまりっこショー。 小人たちは、憧れのミスターまりっこと共演できるというので、うきうきわくわくですが、氷の国の氷河は、これがうまくいかなかったら、一生テレビ局のトイレ掃除のおじさんの運命が待っているのですから、とてもとても不安でした。 小人たちが可愛くテレビに映るかどうかも心配です。 そんなふうに、今にも破裂してしまいそうなくらい、ばくばく言っている氷の国の氷河の心臓を無視して、いよいよミスターまりっこショーの収録開始。 収録スタジオは、熱烈なまりっこファンの観覧者たちでいっぱいでした。 スタジオの中央奥の壁には、派手な番組タイトルロゴが飾られています。 スタジオいっぱいに、ミスターまりっこのテーマが流れ、もくもくのスモークの中から、トレードマークの長いマントと黒いサングラス姿のまりっこが登場すると、スタジオ内は割れんばかりの拍手に包まれました。 ステージの脇で、小人たちも、ぱちぱちぱち〜★ と力いっぱい拍手です。 「まりっこさん、今夜はいったいどんな不思議を我々に見せてくれるんですか?」 お馴染みの司会者さんのお馴染みのセリフで、ショーは始まりました。 「今日は、いつもとちょっと趣向を変えて、新しい奇跡をお見せしますよ」 「ほおおお、それはどのような?」 「これを見てください。これは普通のビスケットです」 「確かに、よくあるビスケットですね」 「これを使って、今夜最初の奇跡をお目にかけましょう」 ここで、アシスタントの女性が、ステージの中央にテーブルを運んできました。 テーブルの上にはお皿が2枚乗っています。 わりといつも通りの展開です。 「まず、お皿を確かめましょう。どこにでもある普通のお皿ですね」 「確かに、よくあるお皿ですね」 「この右のお皿にビスケットを置きます。これに私のハンドパワーを注ぎますよ」 ──と、ここまでも、いつも通りの展開でした。 でも、今週は、ここからが違うのです! |