「森のみんな……どうもありがとう!」
氷の国の氷河は感謝の涙を流しながら、クマさんたちにお礼を言いました。

クマさんたちは、小人たちとはお話ができましたが、氷の国の氷河と言葉を交わすことはできません。
クマさんたちが、『どうしたんだい』と尋ねるように首をかしげるのを見て、氷の国の氷河は、かくかくしかじかとクマさんたちに事情を説明したのです。


途端に、氷の森の動物たちに、激しい動揺が走りました。

小人たちは、森の動物たちにとっても大事な大事な友達で、氷の国の希望の星でした。
その小人たちがよその国にさらわれてしまったら、氷の国はきっとすぐに寂れて滅んでしまうに違いありません。
そんなことになったら、よその国から妙な文明だの何だのが入ってきて、氷の国から、動物たちの住める森を奪っていってしまうかもしれません。
それは、氷の国の氷河だけでなく、氷の森の動物たちにも一大事だったのです。

氷の森の動物たちは、氷の国が、9号の知恵と政治力と、小人たちの可愛らしさと勇気で成り立っていることも、氷の国の氷河が、その点、あまり頼りにならないことも知っていました。

氷の森の動物たちは、どうあっても、氷の国の氷河に小人たちを取り戻してもらわなければならなかったのです。






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