こんな調子で、噂の可愛子ちゃんを捕まえられるのだろうかと一抹の不安を抱いたミロでしたが、その不安は現実のものとなりました。
金銀パール公園に向かったミロと氷の国の氷河は、またしても、一足違いで二人を捕まえることができなかったのです。


「すみませんっ! お聞きしたいことがあるのですが」
「あいよ。なんだい」
「とっても可愛らしい緑の髪をした子と、勇者のアルゴルを見ませんでしたか?」
「ああ、来たよ。アルゴル様が、可愛いお連れさんに、うちのスーパートリプルジェラートを買ってくれたよ」
「そ、そうですかっ! で、二人はどっちにっ?」
「確か、サファイアの時計台の話をしとったなぁ」
「あっ、ありがとうございました!」

現場の下僕刑事は、今度は金銀パール公園のアイスクリーム屋のおじさんに同じ聞き込みを繰り返し、ぺこぺこ頭をさげてお礼を言い、ミロ警視監は、氷の国の氷河の後ろでその報告だけを受けました。

(そういえば、サファイアの時計台の、1日1回限定のからくり仕掛けを見たカップルは幸せになるという噂があったな……)

しかも、ミロは、自分の持っている情報を氷の国の氷河に開示することはしないのです。
これでは氷の国の氷河は、ただ足を棒にして聞き込みを続けるだけで、肝心の目的物はミロに奪われてしまうことにもなりかねません。



サファイアの時計台のからくり仕掛け発動の時刻までは、もう幾らもありませんでした。
けれど、氷の国の氷河はそんなことは知らないまま。


それでも!
急げ、氷の国の氷河、残る時間はあとわずかだ。
走れ、氷河よ、時計台に向かって!

愛する人はそこにいる!






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