コミケレポート伝説




ある時、例によって山と詰まれたチラシを片付けながら、11号が溜め息まじりに呟きました。
「僕たちも一度でいいから、フルカラー・オフセットで箔押しした本を出してみたいねー」

けれどそれは叶わぬ夢というものでした。
「でも、どこの印刷屋さんもきっと、A12サイズの本なんて印刷してくれないよ……」
「うん、そうだよね……」
2号に慰められつつも、11号はしょんぼりです。
11号はいつも、よそのサークルのカラフルで立派な本を羨ましく思っていたのでした。

「11号、そんな暗い顔しないで! さ、チラシ片付け頑張ろ! 早く片付けないとお店が開けないよ」
「うん、ごめんね。そうだよね、これ頑張って片付けようね!」
そう言って、11号は無理に笑顔を作り、再びチラシ片付けを始めました。


永遠にコピー誌しか出せない地球一の大手サークル。
この会話は、いつも小人たちの様子をうかがっている小人さんフリークたちの耳に入り、次のコミケカタログのコミケットマンガレポートに、このネタで1000通を超えるレポートが寄せられたそうです。