脱衣所では、甘いものに酔った小人たちが、食えや踊れの大宴会&大狂乱を繰り広げていました。
(ちなみに、小人たちはぱんついっちょ、たれたれ瞬ちゃんはちゃんとお洋服を着ています)


小人たちの口の周りや手はクリームでべたべた。
実は、小人たちは、宴会の後でもう一度お風呂に入るので、ますます長湯になっていたのでした。



   プリンはみんなおいしいな〜
   おいしいから食べるんだ
   ケーキはみんな甘々だ〜
   甘くてふわふわ 大好きだ

   おー風呂場でクリームを
   味わってれば〜
   途端に忘れる
   氷河の刺激〜

   カラシなーんて
   ワサビなーんて
   つぶ塩なーんーてー
   みんなみんな大嫌いだよ
   お砂糖が好き〜♪♪



小人たちは、甘いもの禁止のストレスのせいもあって、気が狂ったように踊っていました。
気が違ったように歌っていました。
突然脱衣所になだれこんできた、二人の氷河にしばらく気付かなかったほどです。


氷の国の氷河は、そんな小人たちの狂喜乱舞に大ショック。
「お……おまえたち、そんなに俺の刺激が嫌だったのか……」


「わあぁぁぁぁっ、氷河ー !! 」× 15

小人たちも、氷の国の氷河に見られてはいけない姿を見られてしまったことにパニックを起こして、上を下への大騒ぎです。
ほっぺや指先にクリームをつけたまま、ぱたぱた辺りを走りまわったり、転んだり、ぶつかったり、ひっくり返ったり。まるで、巣を掘り返されて逃げ惑うアリンコのようなありさまでした。


「そんなに嫌だったのに、なんで言ってくれなかったんだ……」
呟くような氷河の声に、アリンコのようだった小人たちの動きがぴたっ★ と止まります。

「氷河……」× 15

小人たちは、最初から、何度も嫌だと言っていました。
それを聞いてくれなかったのは、氷の国の氷河の方です。
悪いのは、氷の国の氷河の方でした。

でも。
小人たちは、そう言って氷の国の氷河を責めることはできませんでした。
小人たちは、氷の国の氷河に秘密を持ってしまっていた自分たちを責めていたのです。
氷の国の氷河にこんなに辛そうな顔をさせるくらいなら、最初から秘密など持たなければよかったのに──と。

本当に悪いのは、氷の国の氷河でした。
ショックを受けて混乱していた氷の国の氷河も、すぐにそのことに思い至りました。
けれど、小人たちは氷の国の氷河を責めません。


だから。

だから、氷の国の氷河は、ずどどどどーん★ と地獄の底まで落ち込んでしまったのです。

氷の国の氷河は、ふらふらと覚束ない足取りでお風呂場を出ていってしまいました。
そして、自分の部屋に閉じこもって、いつまで経っても出てきませんでした。