氷の国の宇宙人襲撃裁判顛末記




氷の国の氷河の勝訴が決定した瞬間、世界中の誰もが勝利の雄叫びをあげました。

喜びに沸く臨時法廷の中で、ひときわ力強いガッツポーズをしていたのは、なにを隠そう9号でした。

裁判にはお金がかかります。
特に今回は、サンクチュアリ弁護士会でも映えぬきの弁護士カミュに払う弁護料がたくさんいるのです。
実質的に勝訴とはいえ、事実は訴訟取消しですから、裁判に負けた方に弁護料を支払ってもらうわけにもいきませんでしたからね。

9号の算段としては、へそくり――もとい、国家予算から数百万円を裁判費用として一時払い出し、それから、今回の顛末記を出版してその印税で支払い分を補填するつもりでした。


執筆者はもちろん、氷の国の氷河。
巻末付録として、小人たちのコーナーもあります。
解説者はたれたれ氷河さんで、既にコンタクト済み。
特別企画として、カバー折り返しについている券を3枚集めて応募すると、小人たちのピアノ鍵盤が3名様に当たる懸賞付きです。

小人たちに氷の国の氷河、ジークフリート裁判長に、着飾ったatenasaori_ojyo、カミュ弁護士、傍聴人席にたれたれ氷河さんとたれたれ瞬ちゃん。
弁護人タコがちょっと美観を損ねていましたが、華やかな公判の中継の視聴率はかなりのものでしたし、話題性もばっちりです。


9号の計画は万全でした。

事実、本の制作は順調に進んでいました。
氷の国の氷河の手記部分以外は……。