「サイン会の収益で財政は潤ったし」
「コミケでも完売したし♪」
「たくさんお菓子ももらえたし♪」
「充実したいい夏だったね〜♪」× 15


今はもう秋。
夏が充実していればいるほど、秋の実りも豊かになります。
小人たちは、短い夏の間に起こった様々な出来事で、本当に多くのものを得ることができました。


後日談として、撤収作業で燃え尽きてしまったサイン会スタッフや、たれたれ氷河さんにみっちり算数の講義を受ける羽目になった氷の国の氷河や、新刊を取りに行ってコミケ会場に間に合わせるために、死に物狂いでとんぼ帰りしてきた氷の国の氷河のエピソードなんかもあるのですが、それはまた次の機会にね。




「……それにしても誰も通らないねぇ……」
「そうだねぇ……。誰か来てくれるといいのにね」

小人たちは、手の届かないブドウの棚の下で、
『もしもし、そこのかわいい小人さんたち、 何かお困りですか?』
と声をかけてくれる親切な通りすがりの誰かを待ち続けています。


「それにしてもきれいな空だねぇ……」
「見て見てあの雲、ショートケーキの形してるよ♪」
「あっちのはシュークリームみたい〜♪」


氷の国の秋の日は、ゆっくり穏やかに過ぎて行くのでした。

 


《劇終》