ところが。

旅のツバメさんの協力のもと、小人たちがおなかいっぱいさくらんぼを食べることができたかというと──。

実は、できなかったのです

旅のツバメさんは、その嘴で、さくらんぼの実を次々につつき落としてくれました。
さくらんぼの実は、次々と小人たちの頭上に降ってきました。

さくらんぼは小さな果物ですが、どんなに小さいものだって、高いところから落下したら加速というものがつきますよね。
つやつや真っ赤なさくらんぼの実は、小さな小人たちめがけて、それはそれは勢いよく落ちてきました。


さくらんぼ爆弾の威力はすさまじいものでした。
小人たちは、わーわーきゃーきゃー叫びながら、あっちにあたあた、こっちにぱたぱたと逃げ回ることになって、さくらんぼを食べるどころではなかったのです。


「ごめんね、小人さんたち」

逃げまどって、ぜいはあ息を切らしながら地面に座り込んでしまった小人たちを見て、旅のツバメさんは、申し訳なさそうな顔をしてどこかに飛んでいってしまいました。