ピンク : 氷の国の小人たち 1〜8号・10〜15号ちゃん
オレンジ色 : 9号ちゃん
: 氷の国の氷河
: プルーストさん 心の声



Q27 いちばん好きな名前は?



「ひじょうに難しい問題だね」
「うん、今までで一番の難問だね」
「どうしよう……。僕とても決められないよ」
「僕だって……」
「そうだよね」
「チョコレートもシュークリームもパイもケーキもアイスもお饅頭も、みーんなみーんな大好きなんだも〜ん」× 15

「うーん、うーん、困ったね」
「大体問題があやふやなんだよー」
「そうだよね、これじゃ、好きな人の名前なのか、物の名前なのか、食べ物のことなのか、乗り物のことなのか、場所なのか、それとも他の何かなのかわからないんだもん」
「具体的に聞いて欲しいよね」
「抽象的過ぎるよね」
「だから僕たちも困るんだよね」


(これはえらいすみませんなぁ……)


「そういえば今まで何の疑問ももたずに答えてきたけど、この質問の目的って何なのかな?」
「そう言われてみれば……」
「えーと……今まで聞かれたのって、何が幸せですか?とか」
「やたらと好きな人とか好きなものの事とかを聞かれるよね」
「ねぇねぇ、これってもしかして……」
「うん……僕もそうじゃないかと思う」

「これって……」

「クリスマスプレゼントの事前調査だよね!!」× 15

「時期的にも間違いないよ」
「じゃあ、サンタさんからの質問ってこと?」
「わーい、わーい」
「……ということは慎重に答えないといけないね」
「そうだね」


〜ただいま小人さんたち会議中〜


「はぁはぁ……。激しい議論だったね」
「ふぅふぅ……。こんなに疲労した割には結論が出せなかったね」
「こういう大事なことは何度も話し合いをしなくちゃ。まだ8問分は猶予があるから、じっくり考えようよ」
「そうだね。あふ……僕、疲れて眠くなってきちゃった」
「明日に備えてもう寝ようよ」
「うん。それがいいね」

「おやすみなさ〜い」× 15


(ははは……。小人さんたちの思考は相変わらずユニークやな。そやけど、てっきり氷の国の氷河はんの名前がすぐ出てくるって思ってたんやけどなぁ……。なんでかけらも出てこんのやろ?)


「……え? だって、氷河のことは、僕たち、『好き』じゃなくて、アイシチャッテルんだもん」


(なるほど〜)


「あれ? 13号、誰とお話してるの?」
「ん、ちょっとね」

「ぐぅぐぅ……(←こちらもいつの間にか眠っている)。俺はいつもおまえたちが1番なんだ……うう……だから、もう……ご…ごかいだ〜……」


まったく報われていないようで、実はすごく報われている(かもしれない)氷の国の氷河。
幸せって目には見えないこともあるのですね……の27問目でございました。