ピンク : 氷の国の小人たち 1〜8号・10〜15号ちゃん
オレンジ色 : 9号ちゃん
: 氷の国の氷河
: プルーストさん 心の声



Q34 現在の精神状態



「僕たちはいつだって、幸せいっぱい、夢いっぱい。気分は最高! なんだけど……」

「でも、氷河が天国に来れなかったら、どうしよう……?」
「氷河と離れてたら、天国にいたって寂しいよね……」
「天国にいたって地獄にいるのとおんなじだよね」

「どんなにおいしいおやつが山のようにあったって」
「天使が着るみたいなかわいいお洋服を着てられたって」
「毎日、いいお天気で、神様が優しくしてくれたって」
「氷河がそばにいてくれなきゃ嫌だよぉ〜っっ!!」× 15

「おまえたち……(じーん☆)」

「……なーんて、泣き暮らす僕たちだと思ったら大間違い!!」
「へ?」

「そうだよね〜」
「うんうん。僕たちは、何があったって絶対に幸せになってみせる!」
「氷河が地獄に落ちてるのなら」
「僕たちが、氷河を天国に引きあげてあげるよ!」
「1号が2号の足を掴んで」
「2号は3号の足を掴んで」
「3号は4号の足を掴んで」
「4号は5号の足を掴んで」
「5号は6号の足を掴んで」
「6号は7号の足を掴んで」
「7号は8号の足を掴んで」
「8号は9号の足を掴んで」
「9号は10号の足を掴んで」
「10号は11号の足を掴んで」
「11号は12号の足を掴んで」
「12号は13号の足を掴んで」
「13号は14号の足を掴んで」
「14号は15号の足を掴む!」
「そうすれば、僕たちは長いロープみたいになるから、氷河は15号の手につかまればいいんだよ」
「僕たちがきっときっと、氷河を天国に引き上げてあげるからね!」

「お……おまえたち……(じーん☆)」

「だから、その時のために、氷河、今からダイエットしといてね!」
「あ、そうだよね。いくら僕たちが一致団結して頑張ったって、氷河の体重が重かったら、引き上げられないよね」
「その通りだね〜」× 14

「あ……あの〜。そんなこと言われても、俺は、今日も朝から、梅干し1個と大根飯を1膳食べたきりなんだぞ……。これ以上ダイエットしたら、俺はおまえたちより100年も先に飢え死にすることになると思うんだが……」

「それはダメっ!」
「うん、それはダメだよ」
「全然よくないよね〜」
「僕たちは、いちにのさん! で一緒に死ななくっちゃ!」
「さんせーい!」× 15


「仕方がない。『15人鈴なり・氷河救出作戦』は断念しよう。となったら、次の手は……」
「次の手は?」
「次の手は『神様お願い作戦』だ!」
「神様お願い作戦?」
「それってどんなの?」

「もちろん! 神様のところに行って、ダンスを上手に踊って、氷河を天国に連れて来てくださいってお願いするのさ!」
「おお〜」× 14

「それは、鈴なり作戦より成功率が高そうだね!」
「神様だって、閻魔様だって、僕たちのダンスを見て、心を動かされないはずないよね!」
「あったりまえさ!」× 15

「それでも、僕たちがどんなにお願いしても、神様が言うこと聞いてくれなかったら、みんなで、天国から地獄のお池にダイビングだ!」
「わあ、スリリングーっ!」
「愛の逃避行だねっ!」
「ドラマチックーっっ!」

「そして、僕たちと氷河は、地獄の針の山の針にマシュマロを刺して、灼熱地獄の火でこんがり焼いて、血の池地獄の浜辺にピクニックに行って、みんなでマシュマロを食べるんだ」
「さんせーい!」× 14
「異議なーし!」× 14

「おまえたち、そんなにまで、俺のことを……」

「やだなぁ、氷河ったら、なに涙ぐんでるの? 僕たちが氷河のために頑張るのなんて、あったりまえのことじゃない」
「そーだよ。あったりまえのことだよ!」
「(じーん☆)」

「だって、氷河は優しくて」
「(じーん☆)」
「かわいいぱんつを縫ってくれるし」
「(じーん☆)」
「お掃除もしてくれるし」
「(じーん☆)」
「お風呂で遊んでくれるし」
「(じーん☆)」
「最近は、パンケーキも焦がさなくなったし」
「(じーん☆)」
「かっこいいし」
「(じーん☆)」
「なんったって、ノーベルンルン芸術賞をとってくれるんだもん!」
「(ぎくっ★)」

「氷河を愛してる僕たちが、氷河のために頑張るのは」
「あったりまえのことだよねー!!」×15

「あああああああ………(←とてもフツザツな気持ち)」


(……なんとなく、小人さんたちが運命や神様に愛されてる理由がわかってきたでえ……。それから、氷の国の氷河はんが不運なわけもな……)

「それは、なんでなんですか〜っっ;;」

(あやや。氷の国の氷河はんも、わいの声が聞こえるようになったんかいな?)

「どうして、俺は……どうしてこんなに……ううううう……」

(氷の国の氷河はん、元気だしたってや……。気の毒やけどなあ、氷の国の氷河はんが不幸なんは、多分、可愛い小人さんたちに愛されてる氷の国の氷河はんに、運命の神様が嫉妬してるからなんやと思うよ。こればっかりは、しょーのないことなんや……)

「そ…そんなぁ〜;;(←でも、小人たちに愛されなくなった自分なんて、考えたくもない)」


(小人さんたちの気分は最高、氷の国の氷河はんの気分はどん底……と。まあ、これも人生やね……)


BGMは、美空ひばり『川の流れのように』。


長かったプルーストの質問状・氷の国編。
次回はいよいよ最終問題ですー!