「ところで、お仕事って、どこにあるの?」 雨漏り被害に出会って、働く決意を固めた小人たち。 けれど、実は小人たちは、これまで一度も働いたことがありませんでした。 何号なのかはわかりませんでしたが、小人の中の1人が口にした非常に素朴な疑問を聞いて、クマさんとおシゲちゃんは、とてつもなく不安になりました。 が、さすがに、9号は平然としたものです。 「口入れ屋だよ」 「口入れ屋ってなぁに?」 「職安のことだよ」 「それって甘いの?」 小人たちの素朴な疑問は続きます。 クマさんは、頭をかきかきしながら、小人たちに説明してやりました。 「あー、ちびすけたち。口入れ屋ってのは、あんこじゃねぇんだ。口入れ屋ってのは……そーさなぁ、人材斡旋業――って言ってもわかんねぇか。働きてぇ奴と人を雇いてぇ奴を引き合わせて話をつけてくれるとこのことだ」 「つまり、僕たちがお仕事をくださいってお願いに行くと、お仕事をくれる人を紹介してくれるのさ」 9号がクマさんの説明を更に平易に言い換えると、口入れ屋があんこでないことが理解できたのでしょう。 小人たちは大きく頷きました。 「便利だね」 「うん、便利だね」 「じゃあ、そこに行こう!」 「よし、行こう!」 理解できると行動は素早いのが小人たち。 お寝間を脱いで、早速お出掛けの準備です。 口入れ屋さんが開くまでにはまだ間がありましたが、岡っ引き氷河は口入れ屋がどこにあるのかを知りませんでしたので、一行は、お江戸の町を見物しながら、そろそろお昼時――という頃に、やっと口入れ屋に到着したのでした。 |