『小人さんたちのお団子盗まれる!』

――の大ニュースは、マサやんの瓦版やおばちゃんたちの井戸端ネットワークを通じて、あっという間に江戸中に広まり、話題騒然のトップニュースになりました。

噂を聞いた大奥のおばちゃんが、将軍様に言上し、お上から、団子泥棒の首に50両の懸賞金まで出ることになったのです。



その話を聞いた9号の瞳が、きら〜ん☆ と輝いたことは言うまでもありません。


50両と言ったら、今のお金にして、おおよそ500万円。
参考までに言いますと、1両は4000文。
お団子1串が4文、お蕎麦1杯16文。
着物が古着で50〜200文、新品なら2000文、棟割長屋の1ヵ月の家賃が500文、おんぼろ長屋で300文。

当時の物価事情を鑑みますと、50両というお金は、雨漏り長屋の修理をしても、余ったお金で夫婦2人が2、3年は遊んで暮らせるほどの金額でした。
つまり、50両があったなら、岡っ引き氷河と小人たちが普通サイズの所帯を持つことは夢ではなくなるのです。

「氷河、氷河、頑張って! 頑張って、団子泥棒を捕まえて!」

小人たちにハッパをかけられ、岡っ引き氷河も、珍しく本業の方でやる気を出し始めたのでした。







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