そして、やってきた運命の申の刻。

集合場所の花のお江戸の湯屋の番台前にやってきたのは、13人の小人たちでした。

「2号はどうしたの?」
「2号の受け持ちは、確か上のお座敷だったね」

9号が尋ねると、途中まで2号と一緒だった3号が状況報告。
「2号はウツボカズラの間が担当で、僕は隣りのペンペン草の間の担当だったから、お座敷まで一緒に行ったんだよ」
「帰りはどうだったの?」

「うん、それが……。2号がお水を飲んでから行くって言うから、僕、先に引き上げてきたの……。まさか、こんなことになるなんて思ってもいなくて……」
こんなに近くにいたのに、大切な仲間を見失ってしまうなんて──。
3号の瞳は、自分の迂闊さを悔やむあまり、ちょっと潤みかけていました。

そんな3号を、仲間たちが明るく励まします。
「3号のせいじゃないよ。それに2号も1号も、きっと危ない目には合っていないはずだよ」
「そうだね。引き続き甘い気持ちがするもの」
「ねえ、甘い気持ちが2倍になってない?」
「あ、僕もさっきからそう思ってた」
「ということは、1号と2号は、今おんなじ場所にいるんだ」
「そっかぁ……。でも、いったいどこにいるんだろ? 僕も早く甘い気持ちを実際に感じたいなぁ……」

2人の仲間の姿が消えてしまったというのに、小人たちを支配しているのは、なぜだかとっても甘い気持ち。
1号と2号に会いたい気持ちが強まるのも、決して不安や心配のせいではありませんでした。

「それには、一刻も早く2人を見つけることだよ。そうすれば僕たちも甘い気持ちを体感できるよ」
「よし! 張り切ってこ〜!」
「おおーっ!」× 14


というわけで、小人たちがその団結を一層強固にし、気合い充分で、『第2回1号&2号捜索大作戦』にとりかかった頃、銭形氷河は──。

「おお〜い、1号や〜い!」
花のお江戸の通行人の注目を浴びつつ、お店の前のどぶをさらっていたのでした……。







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