幼い時からずっとそうだった。 瞬はいつも一輝の側にいた。 まるで、一輝の影のように。 俺には無論、一輝の方が瞬の影に見えていたのだが、その影は実際以上に大きくて、実際以上に邪魔な存在だった。 瞬は、いじめられたと言っては兄に泣きつき、訓練が辛いと言っては兄の慰めを待つ。 一輝という影を実際以上に大きくしているのは、瞬が、他の誰よりも兄を求めているというその事実だったろう。 兄以外の誰も必要ではないのだと言わんばかりに、瞬はいつも一輝を呼び、一輝の庇護を求め、一輝の許に駆けていくのだ。 『どうして俺じゃ駄目なんだ』 そう尋ねることさえできずに、一輝を慕う瞬に苛立ち、瞬を苛める側にまわっていた幼い頃。 あの時、勇気を出して瞬に尋ねていたら、瞬は何と答えたのだろう。 きょとんとして、いつも自分を泣かせてばかりいるいじめっ子を、涙で潤んだ瞳で見詰め返してきたのだろうか。 |