Revolution

〜SIROUさんに捧ぐ〜






1789年初頭。

フランス王室は破産寸前、飢えに苦しむパリ市民たちの緊張は頂点近くまで高まっていた。 街のあちこちでは一切れのパンをめぐって小さな小競り合いが頻繁に起こり、そのための人死にが出ることも珍しくはない。
飢えや病のために死んでいく子供や老人の数はそれ以上で、パリの街には、空腹を訴える幼い子供たちや我が子を失って嘆く母親たちの泣き声が毎日のように響いていた。

目端の利く貴族たちは、そろそろフランス王家を見限り、国外逃亡の準備を始めていたが、ブルボン王家が倒れることなど考えもしない貴族たちが、ベルサイユには数多くいた。
絶対王政の具現ともいうべき太陽王ルイ14世がベルサイユと欧州に君臨していたのは、ほんの70年前のこと。
貴族たちの安穏も当然のことではあったろう。






【next】