しゅん王子が、濃灰色の波の次に見たものは、晴れ渡った青空でした。 海から魚を獲って帰ってきた白い鳥が、急いで巣に戻ろうとして、その空を横切っていくのが見えました。 しゅん王子は陸にいました。 しゅん王子の上に広がっているのは、嵐が過ぎた後の朝の空。 船から投げ出されたしゅん王子は、小さな島に流れ着いていたのです。 白い鳥は、この島に住んでいる唯一つの家族の一員のようでした。 「お気がつかれましたか」 しゅん王子は一人ではありませんでした。 しゅん王子が空の眩しさに瞬きを繰り返していると、すぐ横から若い青年の声が響いてきました。 つい先頃、しゅん王子のお城の東の庭を造り替えるために、北の国から招かれた造園家の青年でした。 もともとはしゅん王子の国に生まれたのだそうですが、とても美しい庭を設計するというのであちこちの王様や貴族たちの招聘を受け、一つの国に落ち着いたことがないというほど高名な造園家。 彼は金色の髪をしたとても美しい青年で、彼がしゅん王子のお城にやってきた時、しゅん王子のお父様は、それはそれは嬉しそうでした。 しゅん王子のお父様は、まるで国賓を迎えるような丁重さで、彼をお城に招き入れました。 お城の東の庭はしゅん王子のためのお庭でしたし、金髪の青年は、他の大きな国の王からの依頼を幾つも断って故国に戻ってきてくれたという事情もあったのです。 名をひょうがと言いました。 |