おまえと離れている現実が辛くて、唇を噛みながら、俺は寒い夜を過ごした。 俺が少しずつ大人になっていくように、俺の瞳の奥のおまえも少しずつ成長していった。 やわらかく小さな丸い手が、しなやかな指先に。 幼い線を描いていた手足が、伸びやかな四肢に。 可愛らしいだけだった唇は、口付けを誘うそれに――。 まだ見ぬ俺の天使。 会いたかった。 おまえに会うためだけに、俺はあの地での孤独を耐えた。 純潔の、だが、俺の心を惑わす、俺だけの天使。 おまえに再び会えるその時を、俺は待ち続けた。 白く冷たい砂に埋もれそうになりながら。 無言の言葉を繰り返す波の寄せ返しを数えながら。 虚無にも似たその時間は、おまえに会えたその瞬間に、俺の中から消え失せるはずだったから。 |