主宰のその求愛ダンスは、実に、何というか――滑稽だった。
まるで意味がわからなかった。
美しくもなかった。

両腕をばっさばっさと動かして――もしかすると、それは白鳥の翼の羽ばたきのつもりなのだろーか?――出来の悪いアニメのコマ送りのように動かして、下手なバランスを取ったかと思うと、拳を天に向けたり、前方に突き出したり、意味のない動作を繰り返している。

無論、これを目の前で5時間も踊り続けられたら、俺だって『ごめんなさい、もう逆らいません』な気分にはなるだろーが、それにしても、これではただのアホである。

幼稚園児だって、これを見せられたら爆笑するだろう。
しかし、瞬は、ほとんど夢見心地で、主宰のその滑稽極まりない求愛ダンスにうっとりと見惚れているのだ。



天才の感性というものは、凡人には到底理解できない。
俺は、自分がこの舞踊団にいていいのかどうか、再び迷い始めていた。





Fin.







【back】