さて。
次の日、ロシアのお友達と瞬ちゃんは、遠足の前のお楽しみv おやつの買出しに出掛けていきました。

瞬ちゃんのうさぎさんのお財布と、ロシアのお友達の白鳥のお財布には、それぞれ500円玉が1個入っています。
2人のお財布はマーマの手作りで、迷子札も兼ねた優れものでした。


ロシアのお友達と瞬ちゃんは、2人仲良く首からお財布をぶら下げて、ロシアのお友達の家の近所にある、スーパー“アスガルド”に向かいました。
スーパー“アスガルド”は、ヒルダさんとフレアさんという姉妹が経営しているお店で、同郷のよしみというか、良く似た環境の地方出身ということで、ロシアのお友達のお家のご贔屓のお店なのです。


「何にしようかな。2人で色々買って、分けて食べようね」
「うん」
「僕、チョコレートとビスケット買うね、氷河は?」
「これ」

ロシアのお友達が瞬ちゃんの前に抱えて持ってきたのは、ひまわりの種でした。
それは、ロシアではポピュラーなおやつだったのですが、瞬ちゃんはそんなことは知る由もありません。

「氷河、これはおやつじゃないよ。種って花壇に撒くものでしょ。おやつって甘いお菓子のことだよ」
「うん……」
「氷河はまだよく日本のおやつのことがわかんないんだよね……。僕に任せて! うんとおいしいおやつを選んであげる!」
「うん」

そういうわけで、瞬ちゃんは張り切っておやつ選びを始めました。
甘いお菓子は瞬ちゃんの大好物でしたし、何といっても、遠足で2人で食べる大切なおやつですからね。瞬ちゃんはそれはもう真剣に! 吟味に吟味を重ねて、2人分のおやつを選んだのです。

瞬ちゃんの生き生きした横顔に、ロシアのお友達は、ひまわりの種を抱えたまま、ぼ〜っと見とれていました。


そして、そんな2人の様子をこれまた微笑ましく見つめる2つの影。
それは、スーパー“アスガルド”の経営者・ヒルダ&フレア姉妹でした。

ヒルダ&フレア姉妹はマーマと懇意にしているので、ロシアのお友達と瞬ちゃんの恋の経緯なんかも、しっかり承知していました。
ただ、その内容は、マーマ視点で激しくカスタマイズされて、真実に少しばかり脚色が加わり、大層ドラマティックな仕上がりになっていたのです。

マーマ演出監修のロシアのお友達と瞬ちゃんの波乱の恋物語にすっかり感動したヒルダ&フレア姉妹は、今では、『ロシアのお友達&瞬ちゃん支援同盟』会員名簿にしっかり名前を連ねているのでした。






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