「じゃあ、マーマ、行ってきます! 今日は2年生は、『小人さんの森彫刻高原』に行くの。マーマに綺麗なお花かもみじをおみやげに取ってきてあげる」
「瞬ちゃんのおみやげ、待ってるわ。気をつけてね〜v」

うさぎさんのアップリケのリュックをしょった瞬ちゃんと、白鳥のアップリケのリュックをしょったロシアのお友達は、2人しっかり手をつないで、半分スキップみたいに軽やかな足取りで学校に向かいました。


今日の遠足で2年生が行くことになっている『小人さんの森彫刻高原』は、広い公園に色んな彫刻が置いてある、とても面白いところです。

公園の中には原寸大小人さんの彫刻が15個あって、その横に1号〜15号のスタンプがおいてあるのです。
スタンプを15個集められたら、小人さんの森彫刻高原特製の小人さんお人形セット(非売品)がもらえることになっていました。

小人さんの彫刻は小さな小さな彫刻で、毎年、15個全部を見つけられる生徒はほとんどいません。
けれど、瞬ちゃんは、その小人さんお人形セットがとても欲しかったのです。
ロシアのお友達と2人なら、きっと全部見つけられるに違いないと思って、瞬ちゃんは浮き浮きしていました。

「頑張ってみつけようね」

瞬ちゃんににこにこ笑いかけられたロシアのお友達は、決意に満ちた表情で頷き返しました。

なにしろ、ロシアのお友達の生きる目的は、瞬ちゃんを幸せにしてあげることでしたから、小人さんスタンプラリーを完遂することは、ロシアのお友達の今日の遠足での神聖な至上義務だったのです。






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